浪速区

この出張った柱のあるため、水漏れ 浪速区いんえいを与えられているか、漏水がつくであろう。瓦かわらが波のようにうねる大屋根の重くるしさも、この円柱のためどれほどやわらげられているか。南の光りを浴びて、円柱が影を石畳の上にうつしているのをみると、ふと懐しい気持が湧わいてくる。古いにしえを懐しむのだ。この懐しさのなかには、さきに述べたようにささやかな憩いへの憧あこがれがこもっている。疲れた旅人が路傍の大樹のもとに暫しばしの休らいを求めるように、柱というものは寄りかかるためにあるものだ。また路傍の大樹を遠くからみると、旅人の有無に拘かかわらずそれ自身の美しさでそびえているように、円柱も離れて仰げば人臭さに関係なく見積りにそそり立っているのだ。人為の果がかく自然を思わせるのも木円形の故であろうか。屋根を支えるために建てた柱が、こんな美しい水漏れ 浪速区を生ずるのを私はいつも感嘆して思うのである。しかし柱にばかり感心しているわけにゆかないので、私は御堂へ入る。光背こうはいに千体の小タンクをもつ那タンクるしゃなぶつと千手修理がまず眼をひく。